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ついのべ集積場

ひとまず集積

ジュヴナイル趣味

下校のチャイムを耳にして転校生は歩みを止めた。「どうした?」「新世界から」それは見知らぬ土地から来た転校生そのもののような響きだった。癪に障ったので言い返す。「家路だろ」「今はね」と嘯いたまま口笛で、この野郎、三楽章もすっとばして四楽章に入りやがった。#twnovel
 

死神の戯れ

この世に未練を残した死者へ死神は「最後のチャンス」と嘯いて、魂を白い軍手に宿らせるらしい。軍手に込められた魂は大概、何かを目指して力尽き死神に狩られる。道路清掃の青年はそう語りながら道端の薄汚れた軍手を拾い上げていく。夜道の軍手を見たらそっと見守ってあげてと。#twnovel

蛇足

「日本では軍手なんだ?」「そっちでは?」「空き缶とか」「バナナの皮とか」「象の糞とか」 道端によく落ちてるのはつまりそれだけ力尽きた魂があるってこと。
 

九十九

一人暮らしだった大伯母が亡くなった。殆ど会うこともなかった人だが、形見分けの連絡が来た。大伯母の面倒を見ていたらしいシロさんなる男性が玄関で親戚一同を迎え入れ、勝手知ったる働きでお茶を入れてくれた。そして深々とお辞儀をして姿を消し、かたんと白い茶碗が転がった。
「百に一足らぬつくも神と申しますゆえ」。シロさんの声が小さく笑っていた。 #twnovel*1
 

ポケットにキャラメルを

「異邦の地でチョコレートと言われた時キャラメルしか持っていなくてね。今もだけど。食べるかい」「ふふ、キャラメルなんて久し振り。もう入れ歯じゃないから歯につく心配もないものね」三編みの少女が兵士へ笑う。このキャラメル、この人が遠い異国で死んだ時にポケットに入れっぱなしだったらしい。*2 #twnovel

蛇足

進駐軍で来て朝鮮戦争で死んだ兵士とか想像。「おせんべ食べる?」「なんだい、この黒い紙?」「海苔っていうんですよ」的な何か。
 

道に潜むは

夜道で杖を持った初老の男性がコツコツと地面を叩いている。アスファルトを叩く音にしてはおかしいと思い目を凝らした瞬間、突如地面から悪魔が飛び出した。あのマンホールのふた、実は魔方陣だったのか。その証拠に俺に襲い掛かってきた悪魔はほのかに下水の匂いがした。 #twnovel
 

雨の中

雨男が二人、鉄塔の下に並んでいる。土砂降りの雨の中一人は天下御免の雨男、我こそは龍神様の使いでございと蛇の目傘差し呵々大笑。一人は灰色のレインコートに身を包み、黴の生えそうな湿気たツラで雷に怯えている。さて、この雨を呼んだのはどちらなのだろう。#twnovel*3
 

吾輩は

#twnovel 猫は一生に一度人間の言葉を喋るという。わが友猫は先日、酔った飼い主に「うるさい」と言ってやったらしい。しかし本当のところ、猫には魂が九つある。吾輩は飼い主に似て文学的な猫であるからしていずれ九生分を駆使して長文を話す予定であるが中身はまだ決めていない。
 

我らがヒーロー…?

#twnovel (1/2)街の小さな映画館に検閲の兵士がやってきた。目的は暴力表現の規制で、所蔵するカンフー映画の飛蹴りにいたるまでフィルムに鋏が入り、当然ながら激しい抗議の声が起こったが、兵士の「リアルな飛蹴りくらい俺がいくらでも見せてやる!」の叫びによって状況は一変した。

(2/2)「ならやってみろ!」「ヘボい蹴りなら容赦しねぇ!」売り言葉に買い言葉、そして生来の律儀さが災いした兵士は街のあちこちで人々に声をかけられ、見事な飛蹴りを披露するハメになった。その様子を撮影し繋ぎ合わせた活劇映画が地下編集室で今、完成しようとしている。*4
 

食欲テロ連作

「22時以降の食べ物写真のアップロードを禁じねば」「食欲教唆罪成立は急務だ」度重なる深夜の食欲テロの勃発に司令部は手を焼いていた。「ちはーっす、蕎麦屋ですー」…その夜、司令部はたった一人が注文したカレーうどんの香りによって生じた連鎖テロの前に敗北したのだった。#twnovel
 
22時以降に食べ物写真を投稿し、見た者に脂肪フラグを立てさせる食欲テロ。食欲教唆罪成立後も適用時間帯逃れの海外サーバから投稿は続き、事態は国際テロの様相を呈している。忌々しい事に料理は国際色豊かになっていく。今ではレシピまで掲載され献立に悩む人々に重宝されている。#twnovel
 
「警察だ! 食欲教唆罪で現行犯逮捕する!」「待て、個人的な夜食には適用されないはずだ!」「バカ野郎!住宅街のカレーと胡麻油は特別厳しいんだ!窓の外までカレーのにおいを漂わせて食欲を刺激しないと思ったか!」#twnovel
 
「クソッ、やられた」食欲テロ捜査官の職務は過酷だ。厳しい訓練をくぐり抜けた仲間すらも容赦なく巻き込まれていった。そして今また一人、新入りが餌食になった。付き合い始めたばかりの恋人からの「待ってる」というメールに添付された鍋焼うどんの写真に胃袋を撃ち抜かれたのだ。#twnovel

蛇足

「炒飯のヤスがパクられた」オムライスの健から連絡が入る。「サチの奴、何してやがる」厳しい取締りを相手に、食わせるか食われるかの攻防を繰り広げる『世界食堂戦線』は警察の懐に同志を潜伏させている。「言うな、同志"鍋焼のおサチ"を信じろ」窘める焼餃子のタケシの表情は厳しかった。

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「蛇足」は、ハッシュタグ付けずにつぶやいたもの。

*1:140文字オーバーはついのべとしてかなり痛恨

*2:『外国人』と『キャラメル』が出てくるあの世が舞台のお話を書いてください。 http://shindanmaker.com/6531 というお題。天国に外国も何もそんな区別あるんか、と思いつつ。

*3:イメージとしては誕生日が同じ某アーティストさんと某好きキャラ

*4:springrollerさん、『映画館』を舞台に、『兵士』と『転倒』と『飛蹴り』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。 http://shindanmaker.com/185828